日本動物実験代替法学会第31回大会
大会長 松下 琢
(崇城大学・副学長)
謹 啓
新春の候、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
日本動物実験代替法学会は、動物実験の適切な施行の国際原則である3Rs(Replacement:動物を用いない代替法への置換、Reduction:動物数の削減、Refinement:動物に対する苦痛軽減)の推進と普及を目的とし、研究、開発、教育、調査等を行う学術団体です。この原則は近年の実験動物福祉に関係する各国の法律や指針だけでなく、国際標準や国際指針に採用されており、EUにおいては2013年3月に発効した規制により、化粧品開発に動物実験を用いることが禁止されており、この影響は世界に波及しつつあります。化学物質においても、欧州の化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals:REACH)や米国の改正有害物質規制法(Toxic Substances Control Act:TSCA)に動物実験代替法の利用が明記されるなど、世界的にも実験動物を用いない試験法を利用せざるを得ない状況となっております。さらに、医薬品、医療機器や農薬に関しても、国際的な組織において3Rsを基本とした試験法の見直しが進んでおり、化粧品に留まらず、すべての製品保証分野に3Rsを考慮した研究・開発が求められる時代となりました。
このような状況下で、本学会は第31回大会を、熊本で迎えることとなりました。本大会では、メインテーマを「動物実験代替法学の体系化と人財育成」に定め、関連する他学会にご協力を頂きながら、実学としての動物実験代替法学に関連した様々な分野・知識を統合し、次代を担う人財の育成につなげる道を示すとともに、この分野の最先端の研究成果について、産官学の研究者の皆様とともに、活発に議論して頂く機会としたいと考えております。さらに、3Rsを支える基礎研究の重要性も認識しておりますことから、一般演題の発表を活発にするため、ポスター発表の優秀演題を皆様に投票して頂き、選考された複数の演題には口頭発表もして頂く機会を設け、新たな研究の発展を促していきたいと考えております。
熊本は、いまだ熊本地震からの「創造的復興」の真っ最中ではありますが、本大会の趣旨をご理解頂き、是非皆様のご支援とご協力を頂けますようお願い申し上げます。協賛金、広告、物品提供、商業展示、ランチョンセミナーいずれでも構いませんので、ご支援をお願い致します。
謹 白
2018年4月吉日